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奥様はぺち娘♪

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届いた手紙~母の願い~

青い海の美しい世界とは違う世界にて・・・

ゆるやかな日差しの差し込む、穏やかなとき。
テーブルの上には入れたての紅茶が注がれたカップがひとつ。

カチャリ

黒肌の手に捕らえられたカップはテーブルを離れ、
紅い唇へと運ばれる。

「・・・ふふ。あのこったら。
 人のことより、自分のこと心配すればいいのに」

紅茶を持たない、もう片方の手に愛娘ローリアからの手紙。
彼女の母、ヴィヴラの至福のときであった。

血塗られた人生を送った自分の手元から手放した一人娘に、
普通の女性として生きることを望んだ母。


そして、その夢はかなうことであろう。


・・・しかし、彼女はいつも危惧している。
いかに普通の人生を送ろうとしていようとも、
ローリアには自分の遺伝子が受け継がれているからだ。



そう








一族の血に潜む戦闘能力が開花することを


・・・その一族は、代々とある国家に仕える戦士であった。

しかも、当主、一族すべてが女性。

当然、子孫を残す以外に夫を持つなどという
行為は認められるはずもなく、一族の女性は
ただ戦闘能力をあげるための子孫作りの義務が課せられる。
・・・生まれる子供はすべて女性だった。
いや、男児は闇に葬られた、といったほうが正解である。


戦士という生き方に、一族で初めて逆らったのが
ヴィヴラの曾祖母に当たる女性「L」。


彼女は、戦闘のむなしさを知り、戦うことを拒否。
歌姫として戦士たちの心を癒す存在であった。

だが、血には逆らえなかったのか・・・
彼女の生んだ娘は、皮肉にも、一族歴代の中でも
最強と謳われる戦士となってしまった。
死ぬ寸前まで、彼女は娘の身を案じていた。


『戦士ではなく、普通の女性として生きてほしい』


・・・この後の話は、またいつか話すことにしよう。

ともかく「L」からヴィヴラまで、この願いをかなえたものは一人もいない。

みな、生きるため、また、守るもののために
紅い血にまみれ、そして息絶えた。

己が身に流れる血の記憶に抗いながら・・・・・

ヴィヴラが幸運だったのは、自分のすべてを受け入れた
男がいたことだった。

その間に生まれた娘ローリアには、母の願いが込められた。
平和な世界に住む旧知の友に娘を預け、異世界で暮らすことを
選択したのもその思いからだった。

「一度紅く染まった手は、二度と元には戻れない」

そのことを誰よりもヴィヴラは知っていた。
そして、自分の血を引くものにとって、
女性としての幸せを、平凡なものほど
手に入れることが難しいことも。



・・・飲み干されたカップがテーブルの上に戻る。
手紙を大切にたたみ、それをしまおうと席を立ったとき、

バタン

ふいに扉が開いた。
視線をむけたヴィヴラに笑みが浮かぶ。

「あら、おかえりなさい。今度はどこに行ってたの?
 そうそう、あの子から手紙届いてるわよ、読む?」




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