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奥様はぺち娘♪

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届いた手紙~母の想い その2~

いつものように、椅子に深く腰掛け、
ヴィヴラは愛娘からの手紙を読んでいた。

テーブルの上には、お気に入りの紅茶。
旧知の友人から先ごろ贈られた
『ダージリンオータムナル~キャッスルトン~』

ティーカップからは、透き通るような、
それでいてしっかりとした香りが
ふわり、とただよっている。

普段の手紙には笑顔をたたえて読むヴィヴラだったが
今回は事情が違うようである。
いつになく表情が険しい。
紅茶を飲むことも忘れている。

「・・・?・・・海軍提督ですって・・・?」

愛娘 ローリアからの手紙には
生涯の伴侶が現れたことが書き綴られていた。

娘が『結婚』という、普通の女性としての幸せを
つかんだことに関して、異論はない。

だが、娘が選んだ伴侶となるものが

『戦闘を生業とするもの』

となれば話はべつである。

ヴィヴラ自身も戦闘を生業としていたことがあった。
己の身を削り、心から血を流しながら、
戦い続けた日々・・・・
戦いを嫌う心とは裏腹に、
己が身に流れる血に抗えなかった自分。

戦いの中でしか存在を認められなかった『一族の宿命』

娘だけは、その宿命から逃れられるようにと、
自分の手元から放し、平和な世界に送り、
戦う術を教えずにいたのに。。。。。

まさか、祖国の盾となり、己を捨てて戦う者を相手に選ぶとは。

「我が娘ながら・・・強いわね・・・」

ヴィヴラに苦笑いが浮かぶ。
戦う術こそ教えていなかったが、
ローリアはヴィヴラ譲りの頑固さと、芯の強さを持っている。
自分が教えずとも、彼女なりの戦い方を
身に着けているようだ。

「剣を交えることだけが戦いではないの。
最も危険なのは『力に取り込まれた者の心』であり、
また、無用な戦いを避けることができるのは
『力の使い方を知る者の心』なのよ。それを忘れないでね」

ヴィヴラが会う度にローリアに言い聞かせていた言葉。

おそらく、娘は彼の地で、ヴィヴラの言葉の意味を知り
挑戦し続けている。

大切なものを守るために。
剣で、大砲で戦うのではなく、彼女のできることで。

そうでなければ、海軍、しかも提督という要職につく
男の妻となる道など選ばなかったはずなのだ。

ヴィヴラは手紙から目線をはずし、ため息をひとつつく。
そして、すっかり冷めてしまった紅茶を手にし、
一息で飲み干した。

・・・いづれ、あの子は私の元に、報告をしにくるだろう。
その時に知らねばならぬことがある。
その答えを聞いてからでも、遅くはない、か・・・・

「どうか、私の心配が現実になりませんように」

ぽつりとつぶやき、
娘からの手紙を大切に文箱へとしまう。

窓からすぅっと涼やかな風が吹き込んだ。
外の景色が穏やかな夕暮れに包まれていく。
普段と変わらぬ美しい景色。

この安らかな日々に、まもなく終止符が打たれる。
そんなことを予感したヴィヴラであった。

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